戦国 | ナノ

降服失踪


そしてご老体と将棋をする。
あの争いが大きな争いに変わるかは、小太郎には分からない。
立ち上がる小太郎の手を止める、あの心もとない握力が零になった時が合図なのだろう。

「小太郎の番じゃ」

碁では適わない。
将棋では、歯が立たない。

「どうじゃ、王手」

長く生きている分、ご老体は知識が豊富だ。
これから戦が始まる、だから小太郎を雇った。
それだけは確かだ。

降服の、頭を下げた。