戦国 | ナノ

策略失敗


敵襲が来た、音がした。
小太郎は碁石を一つ、隅に置く。

「らしくない手じゃの」

腰の鞘にやったはずの手は、しわしわのご老体に掴まれている。

「まだ大丈夫じゃ」
「……」
「手を変えるなら今の内じゃが、どうするかの?」

小太郎は碁盤に向き合い、ご老体の顔を見た。
目が合って、逸らしたのは、小太郎だった。