忍者失念 ここへ来てから、何でもできるようになった。 名を受け継いでからは忍の訓練、簡単な食事、忍の訓練、忘れた言葉が風化するのがとても早く感じた。 「さて風魔、捜し物は見つかったから、これから茶と碁じゃ」 縁側で待つご老体のために、温度に気をつけた茶を用意しながら、碁を並べる。 毎日新しい鳥が来るこの縁側に咲く花の名を、小太郎はすっかり覚えてしまった。 「む、そこへ置くか」 茶の用意、花鳥の名前、碁の打ち方。 小刀を忘れるのも時間の問題だろう、春の陽気に当てられた手がほかほかと温くなる。 決して勝てない碁。 勝たない、と決めて手を抜いていたが、その内、いくら本気でかかっても勝てない、と気付いた。 「ではわしはここに置こうかの」 |