戦国 | ナノ

四面無駄


「何がどうなっていやがる」

突然の奇襲に対応できないような仲間たちではない。
そんなに弱く育てた覚えはないし、むしろ、荒波のような奇襲に強いものだと思っていた。

「今の貴様に理解できぬのだから、言っても時間の無駄であろう」

海の荒くれたちが津波に飲まれた村落のように、恐怖に怯え逃げ惑う。
元親は逃げ惑う程の元気がなかった。
渦の中心で、ぽっかり抜けた日輪を拝むほかなかった。