戦国 | ナノ

嫁入以後


「そんなことばっかりしてると、嫁に行けねえぞ!」

一揆だ一揆だ、と立ちこめる農民の臭い土に囲まれて、いつきは蘭丸を見上げる。

「構わねえ」

弓矢を一本、落とす。
攻めの機会だ、と言わんばかりに土が押し寄せる。

「おら、田んぼの神様に力をもらってから、ちっとも成長しなくなっただ」

土に揉まれ、それでもいつきは蘭丸を見上げる。

「お嫁さんになんて、なれねえ」

蘭丸は隙を見せた。

「何だよ、それ!」

例えばの出来事は、土の下の若葉のよう。
蘭丸は好きを見せた。