戦国 | ナノ

不吉喜捨


赤ん坊は捨てられた。
金色の髪など不吉の前触れに違いない、しかし殺すと祟りが襲って来そうなので恐ろしい。
山奥に投げられ、赤ん坊はただひたすら泣いた。

「かすが」
「気安く呼ぶな」
「冷たいなあ、俺様たち同郷だろ」

利用価値を認めた村長が村へ持ち帰り、忍として育てた赤ん坊は、美しい忍となった。

「…どうだかな」

鋭い笑みで、かすがは手を振り払った。
赤ん坊はまた捨てられるに違いない。
もう泣かされるのは御免だ。

「かすが」
「だから呼ぶな」
「本当は嬉しいくせに」

捨てられたくないから、自分から捨てるしかない。
力を込めて、手を振り払った。