戦国 | ナノ

散会回忌


あの小さくか細かった帰蝶が、前線で拳銃を鳴らしていると聞いた。
冗談でしょう、光秀は呟き、その日の内に織田の軍門に下る。

「帰蝶、お久しぶりです」
「光秀?」

魔王の妻として張り詰めた表情が、一瞬緩んだ。
しかし、光秀の知っている表情は、すぐに戻ってしまう。

「何の用かしら。ここは織田軍よ、貴方がいるべきところではないわ」
「織田軍に入ったのですよ」
「…冗談でしょう」
「貴方こそ、拳銃を振り回しているなんて、何かの冗談でしょう」
「事実よ」
「ならば私の織田入りも事実です」

光秀は昔のように純粋な笑顔を浮かべたはずだったが、うまく笑えたか、濃姫の冷たい顔を見ると、どうにも自信がなくなってしまった。