戦国 | ナノ

残存座禅


思い返せば、あの日の利家は少し様子がおかしかった。
朝飯をいつもの半分しか食べず、防具を半分忘れ、半身ともいえるまつを置いていった。

「まつねえちゃん、休もう」
「いいえ、まつはお待ちしなければなりませぬ」
「もういいんだ、いいんだよ」

広く暗い部屋に一人、いつまでも正座をして待ち続ける。
ついこの間までは、利家の笑顔を。
今は、利家の冷たい体を。