戦国 | ナノ

無念実現


「政宗殿なら、と期待しておりましたのに」

地に伏せた竜に一瞥をくれ、幸村は最後の槍を振る。

「まことに残念でありました」

幸村は残念だった。
これとなら、心から震え上がる死闘を繰り広げられるとばかり思っていた。
魔王や山猿など簡単に倒し、最後を求めて幸村のところへ来てくれるのだと、思っていた。

政宗の背中に傷をつけた魔王は右槍に、政宗の足をへし折った山猿は左槍に、政宗はそこらに落ちた六爪の一本で。
槍を振るう価値もない。

もう、これには何の価値もない。