戦国 | ナノ

愛聞愛声


「馬鹿野郎!」

これはかすがか幸村か。
分からないし、どちらでもいい。

かすがが拾った狐とか、帰り道とか、最後の日とか、幸村に会った日とか、色々なことを思い出す。
結局佐助は優しさに埋もれたいだけだ。
かすがでは恋愛感情になってしまうから苦しくて、幸村を選んだというだけで。
自分のために涙を流してほしい、だなんて、贅沢だというのは分かっている。

分かっている。

「…はいはい、大馬鹿野郎ですよ。だからそんな大声出さないで」
「佐助!」

分かっている。
この人物が誰か、分かっている。