戦国 | ナノ

愛親愛恋


かすがから離れるための居場所に、かすがが舞い降りる。
運命とは残酷で、望まないことばかりが叶うものだ。

「どうしてこうなっちゃうのかねえ」

武田信玄と上杉謙信は、互いを認め合った好敵手で。
だから、それで。
戦場を駆け回る美しい姿は、間違いなくかすがで。
だからって、何で。

かすがと目が合った。
口を開きかけた。

自分からは話してはならない。

自分からした一方的な約束は、反故にはできない。

一瞬の隙に、どこからか飛んできた弓が肩を貫いた。