戦国 | ナノ

愛決愛意


狐は、ある日いなくなった。
かすがはもちろん泣いたし、佐助だって涙を堪えるくらい感情移入していた。
多分亡骸は土になって、そして。

狐の子は。

きっと、この優しい二人は泣いてくれる。
佐助がある日いなくなり、亡骸となったら。

優しいかすがは見ていて辛いものがあった。
隣に立つ喜びより、消えてしまう恐怖が大きかった。

「武田様、よろしくお願い致します」
「うむ」

かすがから少しずつ遠ざかり、遠ざかり、いつか対峙した時に、迷いなく刃を向けられるよう、遠ざかる。