戦国 | ナノ

愛似愛動


それがかすがであったら、といつも思う。
そしてそれはいつでもかすがではない。

「まったく、その通りだ」
「…何者?」

十ほどの子が佐助のいる木を見上げている。
赤い赤い、虎の子。

「久々に正論を聞いた。お主、名は何と申す」
「猿飛…いや、いやいやいや、おかしいでしょ、何者なの、あんた」
「某は真田幸村と申す。さあ、降りてこい」

降りてきてよ、とかすがが泣いたことがあった。
高い高い木の下から、まるで飛び降りられなくなった猫に手を差し伸べるように。

それがかすがであったら、といつも思う。

「…気に入った!」

そしてそれはいつでもかすがではない。
今はかすがでなくて、いいのだろう。