戦国 | ナノ

愛嬌愛育


小さい頃から、かすがを嫁にと思っていた。
ドジで実直で、何を言っても佐助の後ろをついてくる。
誕生日が五月ほど違うので、当然できることも五月ほど劣る。
それでもかすがは泣きながら、佐助の名を叫び、必ず見つけ、手を離さない。

「そんな大声で人の名前を呼んでたら、絶対忍になれないよ」
「なるもん」

手に力を入れるのが分かる。
痛くない、弱い。
これは五月の差ではなく、男女の差。

「佐助と一緒に頑張って、一緒に忍になるもん」

五月の差は、早くも佐助に恋愛感情をもたらしている。
かすがは真っ直ぐ佐助を見たが、もう佐助はかすがを見ることができなかった。