戦国 | ナノ

瞬間置換


秀吉が討たれた。
若き竜と、小さな虎が、半兵衛の知らないところで、いつの間にか。

知らせを持ってきた古い友人は、床に伏せるよう秀吉に命じられた半兵衛の手を取り、傍観者の目線から事の顛末を伝えた。
うん、うん、と頷きながら、布団に落ちる涙を見て、半兵衛はいつの間にか息を引き取った。

それはそれは綺麗な亡骸で、蒼紅に腫れ上がり切り裂かれたそれの隣に置くにはあまりにも忍びないものだった。

「土に埋まれば同じになるだろう」

まだ死ねない古い友人は、代わりに頭飾りの一つを埋めた。
それは雨などでいつの間にか掘り起こされ、ひらひらと空を舞ってどこかへ消えた。