戦国 | ナノ

失言絶後


「蘭丸は信長様が怖い」

前線で弓を構え、ふと立ち止まったかと思えば、いきなりそう言う。
子供の考えは分からない、光秀はどうしたらいいか分からない。

「光秀は怖くないのか」
「怖いか怖くないかで言えば、そうですね、怖いです」
「そうか」

蘭丸は満足したのか、いつもの餓鬼臭い笑顔で遠い御大将のために弦を引いた。
光秀はまだ意味も分からず、それでも鎌を振るった。

「怖いなら、安心だ」