戦国 | ナノ

冬春夏秋


小太郎はつまらない日々を送っていた。
役目だと手を叩かれて来てみれば、ほれ庭の睡蓮が花を開いただの、これ今年初めてのとんぼだの、老人の暇つぶしの相手に成り下がっていた。

小太郎はつまらない日々を送っていた。
長年の無理が祟ってか、老人は床に伏せるようになった。
以前は赤くなるほど叩かれた手が、今では白く力を失っている。

小太郎は、老人の枕元で手を叩いた。

「そうか、もう冬かの」

卿の欲しいものは何かね、と問われた。
万病を治す薬と、生命力の溢れる春の景色が欲しい。