戦国 | ナノ

完全晴天


調べ尽くした資料を再び蒸し返すのは、梅雨時の暇つぶし。

「迷惑だ」

迷惑だ何だと言っても、日輪が出ていないから仕方ないではないか、と言いたげな視線に、肩をすくめて返す他ない。

「何か言わぬか」

にゃあ、と彼は鳴く。
日向ぼっこをできないのであれば、室内をかき回す。
のんびりと紙に埋もれる猫の、潮風でパサパサになった白い毛並みは何かを思い出させる。

「いい加減に、」

調べ尽くした資料の中に、昔の記憶。
晴れてしまえば寄りつきもしないくせに。
日輪となった我を見もしないくせに。

今年も見事な雨が滴る。