戦国 | ナノ

統率卒倒


統率された何千の兵を見ても、半兵衛は笑わなかった。

「これほど人がいても、秀吉の望む人はいない」
「隣におる」

秀吉も笑わなかった。
二人は何千の中に、柔らかく微笑む春の人を探す。

「僕でいいのかい」
「我に問うか」
「言ってみたかっただけさ」

二人は互いを見ないまま、まだ何千の頭から羽を探している。

「行くぞ、半兵衛」
「うん、秀吉」