戦国 | ナノ

曖昧堅固


市は長政の助けがいらないほど強かった。
むしろ長政が守ろうと奮起すればするほど、市には邪魔で仕方なかった。
それに危なっかしいものだから、市が守ってあげなくてはならなかった。

「おかしいな」

背中にじんわり、血が伝う。

「市、やっぱり長政様がいないと駄目みたい」

市はいつの間にか弱くなってしまった。
背中を守る闇は長政に浄化され、刃が美しい漆黒の髪を切り裂く。
闇とも髪とも区別の付かないそれは、市の足元に広がった。