戦国 | ナノ

奇怪陥落


「お主、今日は一人か?」

顕如様、今日は変なのです、いつものように殴りかかってこないのです、ただ門の前で待ち合わせをするようにぼんやり座っているだけなのです。

「ああ、うん、まあね」
「いつもの大男はどうした。僧侶共だけではなく、我が輩と力試しをしようではないか」

顕如様、変なのです、いつもの相方がいないのです、いえ、たまに一人でも来ることはあったのですが、それは我々の怪我の気遣いをした相方の方であって、こやつではなかったのです。

「そうだね、いつかね」
「いつかとは、いつになる。我が輩は体が鈍って仕方ない」

顕如様、変なのです、変なのです。

「いつかはいつかさ。おっさん、もしも秀吉が来るようなことがあった時は…気をつけてな」

顕如様、変なのです、きっとこれはいつかの相方なのですが、ですが、変なのです、顕如様、お逃げください、顕如様。