戦国 | ナノ

甘味樹木


かすがは甘い。
いつ死んだっておかしくない。

「不安なのよ」
「貴様は自分の命の心配でもしていろ」

かすがは甘い。
隣にいる自分が裏切れば今すぐにその喉を切られる、そういう想像をしない。

でもそれ以上に佐助は甘い。
今どこからか手裏剣が飛んできたなら、迷わずかすがを庇うだろう。

「俺様の心配してくれてんの、優しいなあ」
「うるさい!」

甘い、甘い木の匂いがする。