戦国 | ナノ

地下百万


地の底をすくい上げたような闇。
そんな場所が欲しかった。

「ね、長政様…」

くるくる回るやかましい声にそんな願望も忘れてしまって、ふと独りを感じると、あの温かさを思い出す。

ぼんやりとそこにいても許されるような。
そんな場所が欲しい。

「どこにいるの…?」

ここは地の底よ、と呟いた声も、地の底の兄には届かない。
そこにいることすら承認されない冷たい世では、長政を探すことすら叶わない。

どんな場所もいらなかった。
彼と寄り添っていられたなら。