戦国 | ナノ

愛情薄利


愛することと殺すことは同義語だと、慶次は思い知った。

「なあ、そうなんだろ?」

世界で唯一同意してくれるはずの女性に会うために、わざわざ三日、馬を走らせた。

「…そうだとしたら、長政様はとっくに死んでいるわ」
「殺したいほど好き、って言わない?」

どうしてもどうしても、同意が欲しい。
女性がそう思うなら、彼女の死は意味を持つ。

「あなた、可哀想ね…」

慶次はいつの間にか泣いていた。
市はいつの間にか長政を愛していた。