戦国 | ナノ

初夏輪廻


友がいなくとも、季節は必ず巡ってくる。
くるくると髪を弄ぶ、春の風に負けてしまいそうになる。
優しい風はきっと、桜を、慶次の友との思い出を、遠くへ連れ去ってしまう。

「まだ、待ってくれ」

今日限りの風が、桃色の世界を揺らす。
京へ行けば、今日が手に入る。
昔を手に入れたければ、どこへ向かえばいい。

決着のつかない心が遠く、遠く。
手の届かないところまで、遠く。