職業 | ナノ

ゴーストオッケー


「いつ元就くんが来るかと思うと気が気じゃなくて」
「だったら中に入って待っていたら良かったじゃん」
「そうか、そうすれば良かった」

あわあわと鍵を出し、二階へ上がる。
電気をつける前に髪を整えてしまわなければならないので、癖でスイッチに伸ばした手を制する。
電気がついたら開店だと思っている人が今日の最初の客である。

「元就くんには見られたくない」
「誰だったらオッケーなの」
「幸村くんも嫌だな、佐助くんや慶次くんはいいけど、元親くんは微妙」
「ふーん」

分かるような、分からないような。
分からないが、まあ問題はない。
問題はこの蜘蛛の巣をどうやって直すかだけであり、本当にそれだけだ。

「はい、綺麗になりましたよ」

時計を見ると、7時半。
開店は、9時。
下を見ると、人影。