職業 | ナノ

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「いつき」

髭を綺麗に整えた社長と、美しい秘書。
会社ってこういうもの、の典型例に足が竦む。
秘書は穏やかに微笑み、社長は何も言わなかった。

「あなたの名前よ。社長、あなたの歌声を聴いてすぐに思いついたみたい。いい名前ね」
「あっ、ありがとうございます!」

何になっても恨むな、なんて、どうしてお兄さんはそんなことを言ったのだろう。

礼をして退室する時に一言、力強く背中にぶつかった。

「励め」
「…はい!」