タイトルアップ 授業が終わったのか、幸村が古本屋のドアを叩いている。 どうやらうたた寝をしてしまっていたらしい、西日が暖かく気持ちいい。 しばらくこの体勢だったからか、右腕が痺れている。 どうにか指を上に向けると、頷いて隣の階段を昇っていった。 大きな伸びをして、机の上を確認すると、メモ帳に書き置きと、10円玉8枚が乗っていた。 「起こしてくれてもいいじゃん」 書き置きには、本のタイトルと作者名、それと明日髪を切りに行く、と整った字で綴られていた。 署名はないが、元就だろう。 80円を押し込んだ金庫を持ち、荷物を肩に鍵を掛ける。 時計を確認すると5時30分だったが、まあ構わないだろう。 |