職業 | ナノ

レッドポスト


「元気みたい」
「そっか」
「君のことも書いてあるよ。酒は飲み過ぎると飲まれる。何の格言だい」
「あいつ、あっちの酒飲めないんじゃねえの、度数強そう」
「確かに」

コントではない会話が一通り終わると、慶次はすぐに仕事モードへ戻った。

「メールじゃなくて手紙で返してやれよ。でないといつか俺が失業しちまう」
「そうするよ、郵便屋さん」

手紙を大事にしまい、半兵衛は客を送り出す時のように下までついていく。
それを佐助は上から、慶次が三軒先の和食屋のポストに手紙を入れているのを眺めた。
そして一軒戻り、手紙を、またバイクに跨り、少し進んでは手紙を。

「そういえば、佐助くんも用があるのかい」

窓にへばりついて慶次を見るのに夢中になっていると、後ろから声がかかった。
何のために来たか、すっかり忘れていた。