職業 | ナノ

ライトレフト


「お、慶ちゃん」
「よーす、揚子江」
「よーす、長江」

せっかく立ち上がったので、カビ臭い古本屋から日光を浴びに出ることに決めた。
慶次は手紙の束を確認し、佐助には手紙はない、と言った。

「ラブレターでも待ってんのかい」
「手紙は家に届くでしょーよ、慶ちゃんの区画外だね、残念」

ムフムフと笑い合っていると、慶次は束からエアメールを取り出した。
住所はここの二階、ということはあの友人からか。

「手紙は家以外にも届くんだぜ」

ひらひらと眩しい手紙が、階段を昇っていく。
代理の佐助には、眩しすぎる。

「…郵便屋さん、夜に旦那が寄るかもって、伝えておいてくれない?」
「郵便屋さんが届けるのは郵便物のみだよ、楽しようとしないで自分で言いなさい」
「…へーい」