職業 | ナノ

ゴーサイン


留学へ行くという友人が、完成した美容室を見にやって来た。
まだ端はごちゃごちゃとしているが、割と始まりから見てきた佐助にとっては、ほぼ完成といえるような状態だった。

それにしてもこの友人、ずいぶんガタイが良い。
もしかして何かの格闘技で留学に行くのではなかろうか。
ハサミに指が通るか心配になって何となく手を見ると、佐助と同じようにタコができているので、ひとまず疑念は払われた。

「良い所であるな」
「だろう?君が帰ってくるまで彼に店を任せるから、君は何の心配もいらないんだよ」

半兵衛は髪を揺らし、友人の背中を押した。

「だから、いつまでもここでくすぶってないで、安心して行ってきたまえ」

半兵衛は下まで送りに行ったが、佐助は二階から二人を見下ろした。
友人は一度見上げ、礼をするように頭を下げ、そうして飛行機でどこかへ行ってしまった。