職業 | ナノ

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それから色々な人に声をかけられたが、全部迷彩服のお兄さんが何とかしてくれた。
「ま、追々」だなんて、ボディーガードみたいでかっこいい。

「遅くなって悪い…げっ、猿か」
「げっ、て酷い」
「いらんことアレコレ吹き込んだんじゃねえだろうな、こいつはここに来たばかりなんだ」
「ふふん、二人の秘密だもんね!俺様と、えーと、名前、何?」

そういえばまだ、ここへ来てから誰にも名乗っていない。
眼鏡のお兄さんが聞いてこなかったのは、多分車のお兄さんが教えたからだろう。
こんなに打ち解けてくれたお兄さんに名乗らないのも失礼だ。

「おら、」
「あー、その話だが」

車のお兄さんはスタンドアップを促し、エレベーターを指差す。
迷彩服のお兄さんも分かったような顔で頷いた。

「いってらっしゃい」

一体、どういうことだろう。