職業 | ナノ

キュートガール


「So cute!」

大束のバラを持ったグラサンが、入って来るやいなやいつきを抱きしめた。
ちょっと、俺様の傑作、なんて、野暮ですか、そうですか。

「竹中、予約もしないで悪かったな。小十郎に任せようと思っていたんだが、…思ったより不器用だった」
「予約は構わないけど、それより早く送っていきたまえ。発表会に遅れるよ」
「よし、いつき、let's go 発表会!」
「せめてコンサートホールって言ってけろ、だせえぞ」

花束と政宗といつきは楽しそうな顔をして、一緒になって狭い階段を降りていく。
店の前には大きな車、申し訳なさそうな顔で小十郎が窓から顔を出している。
半兵衛は見送るためについて降りたが、佐助は降りずに窓から車に手を降った。

「猿の兄ちゃん、ありがとな!」

大きな声が、階段を通して伝わった。