クラウドフォグ シャンプーをしている時間はないので、霧吹きで髪を濡らす。 あの家はいいシャンプーを使っているからか、いつきの髪はつるつると綺麗な天使の輪を作っている。 「どんな髪型がいい?」 「…おらに似合って、…この服にも似合うような、そんな髪型っできるか?」 「もちろん!」 一応聞いてはみたものの、佐助の中ではもういつきの頭は出来上がっている。 二つにまとめ、いつもの三つ編みではなくふわふわと綿菓子のような髪型を作っていく。 「発表会で何弾くの?」 「えっと、貴婦人の乗馬、ってやつ」 「…竹中ちゃーん、知ってる?」 「ああ、知っているよ。可愛い曲だよね。いつきくん、今度聴かせてほしいな」 「任せろ!」 最後の仕上げにピンを二本差したところで、ちょうど入り口につけたベルが鳴った。 |