ワンハリケーン 古本屋の店番は暇だ。 古いと言うほど古くはなく、新しいと言うほど新しくはない本に囲まれ、朝から晩まで西の出入り口からせかせか歩く人たちを眺める。 たまに見知った顔が本を買ったり買わなかったり、レジはないのでソーラー電池のついた電卓で計算をする。 それだけで遊ぶには困らない程度の金を貰えるのだから、こんなに割のいいバイトはない。 佐助はため息をついた。 あまりにも暇すぎる、西日がこうこうと古本を照らし始めた、午後6時5分前。 嵐は古本屋の横の階段を駆け上がった。 そして。 「佐助くん、お客様」 待ちに待って待ちまくった声。 佐助は閉店5分前に看板をひっくり返し、嵐の後を追った。 |