turn 「まあ、まあ、たいそう可愛らしい子でございますね」 「飯は好きか?まつの飯は旨いぞ!」 政宗が下宿先として選んだところは、趣のある一軒家だった。 表札の「前田」の字が、時の流れを忘れさせる。 「利家さん、まつさん、またお世話になります」 「慶次のお友達のお願いですもの、このまつにお任せください」 「ちっちゃいの、名前は?」 「いつきです」 「いい名前だなあ!」 くるくる抱きかかえられ、政宗が行ったり来たり。 行ったり来たりしているのはいつきの方なのだけれど。 まるで今日一日を現しているよう。 周りがくるくる変わって、本当はいつきが一番変わって。 「また明日な」 政宗は、サングラスのおにいさんは、何か昔を見るように目を細め、手を振った。 |