職業 | ナノ

fight


「親戚、送ってきたか」
「ああ」

政宗は大分不機嫌のようだった。
斜めに座る猿に何かを言われたか、竹中と戻ってきたのが不満なのか。
分からなくて睨むように見上げてしまう。

「何だよ、そんな神妙な顔しやがって」

ぐにっとつままれた頬に、閉ざした気持ちが膨れる。
竹中と、約束をした。

「おら、歌うからな」
「は?」
「置いてかれても知らねえぞ!」

誰に、何に。
教えない約束が、政宗にも伝わるかもしれない。
それでも構わないと、彼らは笑う。

「馬鹿野郎、置いていくのは俺の方だ」

天の邪鬼な政宗は、ソファをひっくり返し、いつきを未来に連れて行く。
一番近くで聴いて、この声を。