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「よからぬこと、か」

守衛室に静けさが戻り、少し経って秀吉が呟いた。

「何だよその顔、秀吉は嫌なのか?」
「…見ていられなくなるのは、もうたくさんだ」

俯いた友人の言いたいことは、慶次にもよく分かる。
かつての旧友たちと腕を組んで歩いた道を、まだ覚えている。

「まあ、大丈夫だろ」
「しかしな…」
「歌詞、書いてくれよ」

後頭部をじっと見る。
この大きな友人の、緻密に紡がれる言葉が好きだった。
優しく力強い、友人の本質。

秀吉は振り返り、情けない微笑みで慶次の言葉に頷いた。