職業 | ナノ
knock
「すんげー声だったなぁ」
「ウム」
「聞こえていたのかい」
「まあ、真下ですから」
守衛室に大きな陰が二つ、普通のが一つ。
「久しぶりに聞いたよ、あんな大声の歌」
「伊達ぶりか」
「そうそう、政宗、元気?」
「ああ、政宗くんが連れてきたんだよ、あの子」
「マジで?」
「大マジ」
ふふっと笑ってみせた友人の、紫の眼鏡が光る。
「よからぬことを考えているのだな」
「嫌だな、良いことだよ」
「まー無理すんな。いい話待ってるぜ」
もちろんさ、と言ったところで、ノックの音がした。
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