職業 | ナノ

ready


もう用はないようなので、小太郎は工具セットの蓋を閉じ、帰る準備を始めていた。

「小太郎、そこまで送って…あ、政宗に待っていろって言われたんだけど、おら、話したいことが…」

ごちゃごちゃの気持ちをまとめてくれたのは、猿のお兄さん。
完成した宇宙に、言葉という文明を与えてくれた。

「ああ、伊達ちゃんが来たら俺様が言っておくよ」
「この子、伊達の子か」
「そー、有望有望。旦那は最近どうよ?」
「相変わらずだ」

二人はある一人の人物を思い浮かべ、苦笑いで会話を始める。
小太郎の準備はすっかり整い、止みそうにない二人の会話を分断する大声でいつきは、「お願いします!」と頭を下げた。

「じゃ、いってらっしゃい」
「また後でな、いいいいいつき」