職業 | ナノ

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「お兄さん、やっぱおら、自信ねえ」
「今更何言ってやがる、あん時の威勢はどうした」

地下駐車場にくるくると吸い込まれて、昨日も明日もごちゃ混ぜになる。
昨日は何をした、とか、明日は何をする、とかは、これからは全部お兄さんの手のひらの中。

「何が何でもマイクを持て、泣くな、手を離すな、お前が選んだ道だ」

バックで車を収めるお兄さんのサングラスの反射が、何故だか涙に見えた。
この手は、もうスカートを握らない。