職業 | ナノ

sea


そう、威勢よく。
ガンもブザーもガラガラもブシュッも。

「お姉さん、大丈夫か?」

小さなハンカチを持って、いつきは炭酸の海を泳いでいく。
あちらの角から缶ジュースが転がってきて、行ってみたらこの様だ。
都会ってのは危険と好奇心が隣り合わせなのだろう。

化粧が落ちても綺麗な顔のお姉さんだから、きっとばっちり化粧をしていたらもっと綺麗に違いない、とどうでもいいことを考えながら、いつきはハンカチをもう一枚出した。

「お兄さんも、……」

工具セットと「松永電化店」とロゴの入ったエプロンと、見知った顔。

「……」
「…小太郎?」