contact また、待っていろ、と言われたので、先のソファでぼんやりと白塗りの壁を見る。 頭のフィルムが巻き戻され、走馬灯の上映が始まった。 政宗に会ったのは、稲刈りをしている時だった。 鎌を動かしながら、誰よりも何よりも大声で鼻歌を歌う、そんな秋は、小さな一台の車によって終わりを告げることとなる。 「Hey」 都会風のお洒落さんが畦道を掻き分け、収穫の終わった稲を振っている。 稲泥棒かと思ったが、こんな大胆な稲泥棒がいるはずはない。 「何だおめえ」 「おお、bigなvoiceだぜ」 田んぼのあちら端とこちら端からのやり取りで、彼は耳慣れない横文字をたくさん出してきた。 プロデューサーとかプロデュースとか、マネーだかマネージャーだか。 とにかく彼はプロデューサーかプロデュースかで、その大きな声をマネーで買いたいのだという。 「何言ってんだおめえさん、冗談は休み休み言え」 「そうだ、これから農閑期だろう」 彼はサングラスを上げてニカッと笑った。 多分、その時に運命は決まっていた。 |