いつもうるさいよね、わいわいがやがや。
テンションが高くって、君はすっごくうるさいよ。

そう言われて、カチンときてしまった。うるさいだけだと思われているのか、そう思ってつい、家に誘ってしまった。なぜかと言えばまあ、家と学校ではテンションも違うしうるさいだけだなんてもう言わせたくないと思ったからなんだけど、いまさらになって後悔。
だって、まず親の目につく。紹介しなきゃいけない。もちろんなまえのことを親に紹介できない彼女だなんて思っていないし、むしろ自慢できると思っているけど。やっぱり恥ずかしいし。あと、基子にも紹介しなくちゃいけないだろうし。やっぱりこれも恥ずかしい。身内に紹介するのが恥ずかしいと思うのは、なまえのことを本気で想ってるから、なのか。
のんびりと歩きながら、考えていると心配そうななまえの声。ああ、別に恥ずかしいなんてことはない。自慢できる彼女なんだから、うん。

「ここ。」

「ここが秀の家ですか…」

まじまじと我が家を見つめるなまえ。そんなに見てもなにも出ないよ。
とりあえず自分の部屋に案内しようと玄関を開けると、基子がいた。ぎょっとしたように俺となまえを見つめたあと、「彼女?」と小さく小さく言った。

「うん、彼女のなまえ」

「妹さん?なまえです、よろしくね」

にこ、と営業用スマイルと言うのか、印象のいい笑顔で基子に小さくお辞儀をしたなまえ。基子も悪い印象は持たなかったらしく、無愛想に「基子です、よろしくお願いします」とこれまた小さく言った。きっと、基子なりに仲良くなれると踏んだのだろう。
すたすたと引っ込んでしまった基子を見送って、そういえば部屋に案内しないと、と思い出して上がるようなまえに促す。

「かわいいね、基子ちゃん」

「うん、まあ思春期のせいかちょっと難しいけどね」

部屋に入り、「座って」と言うと遠慮しているのかちょこんと正座でその場に座るなまえ。

「遠慮しなくていいのに」

「だって男の子の部屋って初めてなんだもん」

「ああ…なるほど」

その気持ちはわからないでもないので、慣れるまで待つしかないのだと思う。つまりまた、家に呼ぼうと思っている。だってもしかすると、なまえは将来的にうちに住むかもしれないし。いやまだわからないけどね。仮定としてね。

「すごいね」

「どのへんが?」

「…ぜんぶ?」

質問に質問で返されても。緊張感が解れたのかなまえはちょっと足を崩して、口を開いた。

「さっき静かな秀は苦手って言ったじゃないですか」

「はい」

敬語で話すものだから、こちらもついつい畏まってしまう。それが面白かったのかなまえはくすくす笑いながら続けた。

「でも、やっぱり静かなのもいいかもしれない」

「自分勝手だね」

「うん、でもそういう所好きでしょ」

自分勝手で自意識過剰だ。そういいながらも、やっぱり好きだ。

ノイジーガール


100111
お題:にやり様

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