この前までマネージャーは何人もいたのに、かなり数が減った。二年が二人と、一年が二人。同時に部員も減ったから、仕事は言うほど大変そうでもない。
 そのマネージャーの内の一人、一年のみょうじは入部したばかりの頃から俺を慕っていた。なにかといえば「浜野先輩」と俺を呼ぶ。なにかを期待したような目で、俺を見つめる。
 俺はそれが駄目なのか、どうしてもみょうじが苦手だった。

「もう一週間になるな」
「……は?」

 練習に一区切りつけて、休憩中。ホーリーロードも始まって、ここのところ暑い。
 神童が深刻そうな顔をして、話し掛けてきた。一週間…なにかあったか。わかんね。

「みょうじだよ。風邪って聞いてるけど」

 …あー。
 そういえば、ここ一週間くらいみょうじはいなかった。

「心配じゃないか」
「んー、別に」
「浜野、仲良かっただろ?」

 風邪で一週間っていうのは確かに長いかもしれない。仮病を使うタイプでもないだろうし、どんなもんなんだろうな。
 それより気になったのが、神童の勘違いだった。俺と、みょうじが仲良しってことか?

「ちゅーか、みょうじ自体あんま好きでもないし」

 神童は驚いたようで、目をまんまるくして「え」と漏らした。話に参加していなかった、周りの面子もびっくりしたみたいだった。俺がそんな勘違いされてることに一番びっくりしてるんだけど。
 車田先輩が言う。

「お前、みょうじが好きなんじゃないのか?」
「なんでそうなるんすかー」

 笑ってみせると、サッカー部の面子はなぜかどんよりした雰囲気に包まれた。あれ?
 みょうじはどっか、苦手だった。あいつを見てると、胸がモヤモヤするような気持ちになる。好きになれない。どっちかっていうと嫌い寄り、みたいな。


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加筆修正120308

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