※2の後の話を捏造
※ウルビダさんが普通の中学生
※八神玲名=ウルビダさん



「八神さん」

はっとして振り向くとクラスメイトがいた。

「ノート、いいかな?」
「ああ…すま、……ごめんなさい」
「すま…?」

すまない、と言おうとしたが、今までの言葉遣いを改めようと決めたため、言い換える。
エイリア学園として私が活動していたのはもう、随分前のように思えた。私はただの中学生になり、こんなありふれた教室にいる。
ノートを取り出し、クラスメイトに差し出すと「ありがとう」とそのクラスメイトは嬉しそうに受けとった。確かみょうじ……さん、だったか。クラス委員だとかを引き受ける、頼れる人材なんだそうだ。

「よし。これでクラス全員分!」

そう言ってみょうじは既に重ねてあったノート(クラス全員分らしい)を重たげに持ち上げた。それでも嫌そうな顔をせず、「おおっと」なんてふらふらしている。

「私も手伝おう」
「あ…ありがとう八神さん」
「重たそうだからな」
「へへ、そんなに重くないよ」

ふらふらしていたのに。
無理矢理みょうじからノートを奪うと、ずっしり。過去のこともありあまり貧弱な体でない私も少し重たいな、と感じるほどなのだから、こんな細腕では重く感じたに違いない。

「全部はもたなくていいよ!」
「いいから。どこに持って行けばいい……、のかな?」

語尾を付け足すと、みょうじはクスクス笑いながら「普通に話していいよ」と言った。
「普通」に話すと私はまるで「見下したような話し方」になってしまうと言われたのだ。だから出来る限り気を使っていた。下手に学生生活に波風を立てることはない。私は普通の、中学生なのだ。

「職員室まで持って行かなきゃなんだ」
「分かった。じゃあ…」
「一緒に行くよ。ドア開けたりくらいはやるから!」
「ええと、…頼む」




「失礼しましたー!」

明るく大きな声でそう言ったみょうじを見て、クラス委員らしいな…等と思う。教師に対する対応もしっかりした生徒、といった感じだった。

「八神さん、本当にありがとう」
「いや、みょうじが重たげだったからな」
「ははは!なまえでいいよ」
「…なまえ?」
「ああ、それ私の名前なの」

みょうじなまえ、それが彼女の名前らしい。今頃すぎる情報だ。
私が自分自身の名前を知らなかったのを気にしていないのか「改めてよろしくね。玲名ちゃん」とにぱにぱ笑いながらなまえは言った。

「私の名前は知っていたのか…」
「転校生の名前だもん。覚えてない人はいないよ」
「そんなものなのか?」
「うーん…あと、玲名ちゃんは美人さんだからそういう面でもすぐ覚えたかな」
「美人………?」
「大人っぽいしスタイル良いしで転校してきたばっかりの時は大変だったんだよ」

なにが大変だったのだろうか…という疑問が沸いたが、これ以上私を褒められても困るので話題を変えることにした。

「もうすぐ夏休みだな」
「うん。楽しみだね」
「なまえはなにか予定だとか…あるのか?」
「今はないかなあ」
「それなのに楽しみ…?」
「予定ないとダメかな」
「そういうわけじゃ、」

「そうだ。玲名ちゃん、夏休み一緒にどこか行こうよ」
「どこかって、どこに?」
「無難にお買い物とか?」

首を傾げるなまえに「具体的でないんだな」と言うと、「これから決めればいいじゃん!」と手を差し出された。なにかと思っていると、「メアド交換しよう」と携帯電話を催促された。


100707
八神玲名の日常

ウルビダ姉さんの本名でうおおぉって燃えた。萌えた。

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