メールの受信音に、ゆっくりと目を覚ました。
まだ眠い目で見たメールはただのダイレクトメールで、大した内容ではなかった。
ただ、携帯の時計が指す時刻に一気に目が冴える。


「1時……!?」


寝過ぎた。
いくら昨日遅かったからって、午後起床は遅い。
それに、午前中から初詣に行く予定だったのに……。
急いで起きあがろうとしたところを、あたしを抱きしめる大きな腕によって防がれた。
鉄平は気持ちよさそうにすやすやと寝息をたてている。
まるで大型犬のような鉄平の頭をわしゃわしゃと撫で回した。


「鉄平ー、起きて。」
「ん、う……お、なまえ起きたか〜。」
「え……起きてたの?」
「8時頃に一回な。二度寝しちまった」


眠そうにしながら笑う鉄平が、抱きしめる力を少し強めて、より密着してきた。
大きくて筋肉質な鉄平の腕の中は、とても暖かくて、心地良い。


「起こしてくれれば良かったのに」
「いやぁ、なまえが気持ちよさそうに寝てるもんだからさ。寝顔眺めてたら、こっちまで寝ちまった。」
「……人の寝顔、そんな眺めないでほしいんだけど」
「可愛かったぞ?」


言葉に詰まる。どうしてこうにも、恥ずかしいことを平気で言えるのか。
鉄平は片腕であたしを抱きしめたまま、もう片方の腕であたしの体を撫でてくる。
くすぐったくて体を丸めると、太ももの裏も撫で回された。変な声出た……


「鉄平、セクハラ」
「んー? 寝る前のこと思い出した?」
「しね」


肘で軽く鉄平の腹を小突いた。
が、鉄平の鍛えられた体にはなんてことなくて、固い腹筋に跳ねられるだけだった。


「まあ、昨日遅かったしな。カウントダウンとか蕎麦とかさ。」
「……誰かさんが新年早々体力使わせたせいでしょ。」
「はは、すまんすまん。可愛くてつい、な」
「何がついよ、確信犯」


未だ体を撫で回してくる鉄平の腕を剥がして、布団から起きあがった。
冷えた外気が肌に触れて、びくっとする。


「初詣、行こう。おみくじひきたい。」


おう、と鉄平は笑って答えて、ゆっくりと起きあがった。
寝癖ではねてた鉄平の髪を撫でてやると、また抱きつかれた。
あぁ、あったかい。


「今年もよろしくな、なまえ。愛してるよ。」



耳元でそう囁かれて、鼓動が早まった。
小声で、あたしもだよ、と呟いた。




20130101
新年早々いちゃいちゃ。

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