XX月4日(月)
体育館のゴミ箱にノートが捨てられているのを体育の授業後に発見した。
持ち主は同じクラスの女の子だったから届けてあげた。
ありがとうございますって言われた。
当然のことをしたまでである。
そういえば初めて喋ったなあ。


XX月5日(火)
昨日ノートを届けたあの子がクッキーをくれた。
あれしかしてないのに申し訳ないと思いつつ頂いた。
黒髪の綺麗な彼女は前髪で顔が隠れ気味だったので持っていたピンで留めてあげた。黒縁眼鏡の奥には睫毛の長い円らな瞳があった。
可愛い顔してるのにって言ったらだからそんなことないってと言った。同じ事を言った人が居るのだろうか。
その黒髪美人な黒髪ちゃんは、上履きを履いていなかった。


XX月6日(水)
職員室に向かう途中、黒髪ちゃんが体育館裏に連れてかれるのを目撃した。
5,6人のクラスを跨いだ女の子の集団である。同じクラスの子も当然居た。
どうやらその子達がノートや上履きの犯人らしい。
それとなく集団の一部の子に探りを入れてみた。
「あいつ、リョータの周りちょろちょろうろついてウザいんだよね」
「そーそー、身の程知れよってね」
「ちょっと黄瀬君に優しくされちゃって勘違いしちゃったんじゃない?」
「あり得るーぅ。リョータかわいそーっ!」
モテるのも考え物である。原因は同じく同じクラスの黄瀬涼太だったのだ。



XX月7日(木)
数学の授業中、消しゴムを落とした。
拾おうとして立とうとしたとき、先に消しゴムに違う手が伸びた。
斜め前の席の黄瀬君が、どーぞッスって渡してくれた。
ありがとうって言うと、にこって笑った。
日記を読み返したところ、黄瀬君との会話は1ヶ月と4日ぶりであった。


XX月8日(金)
黒髪ちゃんが中庭の池に入ってた。
なんでも荷物を思いっきり3階の教室の窓からぶちまけられたらしく、真下のこの池に入ったそう。
靴と靴下を脱いで、持ち物探しに協力した。
ごめんなさい、本当にごめんなさいって謝り倒されながら、いいんだよって両手を池に突っ込んで一緒に探した。
最後、生徒手帳がなかなか見つからなかった時、唐突に黄瀬君の声がした。
走ってきた黄瀬君に事情を話しすと黄瀬君も一緒に探してくれて、生徒手帳は黄瀬君によって発見された。
黒髪ちゃんは嬉しそうに、ありがとうございますって連呼してた。
人助けとはいいことである。


XX月9日(土)
塾帰りに、雑誌を求めて最寄の本屋に立ち寄ったところ、黒髪ちゃんに偶然会った。
彼女は恥ずかしそうに一冊の雑誌を手に持っていて、表紙を覗き込むと私が買いにきたものと一緒の雑誌であった。
表紙を飾るは、同じクラスの黄瀬君である。
なんとなくレジに持って行くのが恥ずかしかったらしかったので、私の分と一緒にお会計してあげた。
ありがとうございますって、またペコペコされた。
可愛らしいなぁ。


XX月10日(日)
今日は何も予定がなかったので家でごろごろしてた。
昨日買った雑誌を読んでいた。
黄瀬君の特集記事で、黄瀬君が笑ってる。
インタビューによると黒髪の子がタイプらしい。私の髪は染めてもないのに焦げ茶色だ。


XX月11日(月)
黒髪ちゃんは今日も嫌がらせを受けている。
女子の集団は日に日にイライラが溜まっているようだ。
トイレに呼び出されてるのを偶然目撃した。
こうも偶然が続くと、何か縁があるとしか思えない。
ずぶ濡れになった黒髪ちゃんは学校を早退した。


XX月12日(火)
朝、登校した時間ちょうど靴箱で黒髪ちゃんに会った。
大丈夫だったの?と聞くと、そんなこと言ってくれる女の子なまえちゃんくらいだよ、なんて言った。
放課後、課題のノートを教室に忘れて学校に再登校した。
夕方の誰も居ない筈だった教室の中を覗くと、黒髪ちゃんが見えた。
すすり泣く黒髪ちゃんを、綺麗な金髪が抱きしめていた。
金髪はごめん、ごめんねって囁いて、黒髪ちゃんにキスをした。
お邪魔にならぬよう、来た道を引き返した。
見間違える筈もなく、あれは黄瀬君だった。










XX月13日(水)
私はいじめっ子になった。





20121130

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