放課後。
帰りの支度を済ませて、いつも通り帰ろうとしていた。
放課後は当然黄瀬くんとむっくんは部活。二人ともバスケ部のスタメンだから、放課後はバスケ一筋。
だが私といえば、やることもなく家へ向かう帰宅部の所属で、友達は二人以外に居ないのでぼっち帰り。
でもあまり辛くない。一人も友達がいなかった頃に比べれば。

いつも通り黄瀬くんとむっくんにバイバイって言おうと思った時、先にむっくんに声をかけられた。


「●●ちん、部活見てかない?」
「え? 部活って、バスケ部?」
「そー。たまには見にきたらー? そしたら、帰り一緒に帰れるし。」
「う、うんっ!!」


その手があったか。見学なら、暇なしに二人を待てる。
それに、強豪である帝光バスケ部には、少なからず興味があった。


「でも、見に行って大丈夫なの? 邪魔になったりしないかな…」
「だいじょーぶだって。黄瀬ちんのファンの女の子なんていっぱい見にきてるよ」


ふおぉ…流石だ。
支度を終えた黄瀬君が何の話ッスかー?って入ってきたので、今日見学に行くことを伝えた。
黄瀬君はほんとっすか!?ってキラキラの笑顔を向けてきて、そりゃあモテるよなぁ、なんて一人で納得してしまった。
かくして、私はバスケ部に見学に行くことになったのだ。


バスケ部は、私の予想を遥かに超えていた。
キツイ練習メニュー、館内の活気。ボールの跳ねる音、バッシュが床を蹴る音。
青春だなぁ、なんて感じてしまう。
そして、なにより凄いのはむっくんや黄瀬君を含んだスタメン勢。
むっくんは大きな体を活かしたディフェンス。他の人たちだって大きいけど、むっくんはパワーもすごいようだからディフェンスにかなり適している。
黄瀬君も、たった今シュートを決めた。前、人の真似が得意だって言ってたけど、真似ができて上手だなんて、やっぱすごいんだなって思う。
他の人たちだってすごかった。みんな学校では有名だから、名前は知ってる。
キャプテンの赤司君は今日は指示をするだけだった。
でも、緑間君は噂通りどんなところからもシュートを決めて、青峰君は群を抜いて上手だった。
黄瀬君はよく青峰くんと1on1をしているらしいが、いつも負けると言っていたのに妙に納得してしまう。
かなり強いんだと、素人目からでもわかってしまった。

それほどに彼らのバスケに私は見入っていた。
そのせいで、身近なところへ気がいっていなかったのだ。

「あのー…」
「ふぁっ!! あ、はっはい!!」


隣に居た女の子に話しかけられて、変な声を出してしまった。
び、びっくりした………
その女の子は、一言で表すと、桃色。
桃色の、女の子だった。

「ごめんなさい、驚かせちゃったかな。バスケ部、見学来るの始めてだよね…?」
「う、うん! む、むっくんに誘われて……黄瀬君も。」
「あぁ! じゃぁ二人の話に出てくる**ちゃん?」
「は、はいぃ……」


お、女の子と話すなんていつぶりだ。
久々すぎて、どう喋ったらいいのかわからない……


「前から、喋ってみたいなって思ってたんだ! 私、桃井さつきって言うの!」


桃井さつきちゃん。
私がいつぶりかに話した、桃色の女の子である。


20121226
一ヶ月ぶり……だと……



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