調理実習があった週の日曜日。
早速私は黄瀬君と紫原君にあげるためのお菓子を作った。
その日はカップケーキ。チョコチップの混ざったそれは結構自信作だった。
チョコペンで簡単にデコレーションを……と思ってうさぎとねこを描いたつもりだったのだが、私に絵の才能なんて無かったのだ。
変形した動物らしいなにかの絵、としか形容できない。したくない。

でも味に支障なんてあるはずもなく。
翌日の月曜日の昼休みに渡したら、二人とも嬉しそうに「ありがとう」って言ってくれた。
ふわわわわ嬉しい……!!
お菓子作りが趣味で、本当に良かったと思う。




「**っち、XXXXX聞くんすか??」
「え、あ、うん。前から結構好きで……」
「実は、俺も好きなんすよ!! 新曲来週発売っすよねー。」

5限目の準備をしていた時、ちょうど机上の上に置いてあった私のCD。
XXXXXは私が唯一CDを買って持っている音楽グループである。
曲調が好みで、以前から結構好きだったのだ。
まさか、黄瀬君と曲の趣味が合うなんて。
5限目が終わった後、黄瀬君とはそのグループの話で盛り上がった。
4thシングルの曲がいいよね、とか、ボーカルの歌い方の癖とか、新曲の感想とか。
ついついテンションが上がって、かなり喋ってしまった。
……女の子たちからの冷ための視線は感じなかったことにする。


その事がきっかけで、黄瀬君とは大分仲良くなった。
XXXXXに限らず、黄瀬君が進めてくる曲も聞いてみたりするようになった。
一度だけ、モデルの仕事で会ったとかでサイン入りCDをプレゼントされたこともある。
流石モデルである。


お昼は毎日三人で食べるようになり、毎週月曜日は私のお菓子付き、っていうのがもう恒例になっていた。
二人とも美味しく食べてくれて、嬉しい限りである。


そして、むっくん。
呼び名が、紫原君からむっくんに変わった。その方が呼びやすいからである。
むっくんとも、以前より打ち解けて仲良くできるようになった。
朝の登校時間がよく被って、一緒に教室まで行くことも多くなった。

むっくんの大きな腕で、後ろから覆いかぶさるようにハグされることが時々ある。
黄瀬君と私の二人で話が盛り上がっちゃったりすると、むっくんはよく拗ねて私にくっつくのだ。
そういうところ子供っぽくて、可愛いなーって思ってしまう。身体はこんなに大きいのに。


二人と仲良しになって早一ヶ月。
私は同じクラスに二人も友達ができたことで、浮かれていた。
というか、満足していた。

……私には未だ、女友達が居なかったのでした。



20121128
ぬーん

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